2023年2月10日、人事参謀は「転職参謀」に改称いたしました。
新卒 ベンチャー 辞めたい

新卒でベンチャーに入って辞めたいのは当然。理由と対策をプロが解説

悩めるビジネスパーソン

新卒でベンチャーに入った、2年目社員です。現在24歳で、転職を考えています。
というのも、平日の長時間労働や、少ない給料、成長実感のなさ、などから「コスパ的に全く合わない働き方なのでは?」と思うようになったからです。
休日に無給で会社のイベントに出る必要もあり、こうしたサークルに近いノリも少しキツいです。
ただ、ベンチャーは裁量があるとか、経営陣が優秀とか、そういうメリットは確かに感じており…。
新卒でベンチャーに入った人間が、すぐに転職することはどう思われますか

 

今回のテーマは「新卒でベンチャーに入ったが辞めたい人へのアドバイス」である。

結論から言えば「普通は、新卒でベンチャーに入ったら辞めたくなる。合わないならすぐに脱出すべき」になるが、本記事にてさらに詳しく解説していく。

 

初めて訪れた方のためにお伝えしておくと、当サイト「人事参謀」は以下の経験を持つ人事・転職のプロフェッショナルが執筆している。

筆者の専門性や実務経験に基づき、机上の空論を一切除いて本音で執筆しているので、安心してお読みいただきたい。

  • 4回の転職を経て、30代前半で東証一部上場企業(現・東証プライム上場企業)の人事執行役員/年収1,800万に至った経験
  • 難関企業における勤務経験(外資/日系、大企業/ベンチャー、戦略コンサル)
  • 人事面接官として多数の候補者の面接を行った経験
  • 人事マネージャーとして転職エージェントや転職サイトを活用し、採用を実施した経験

 

この記事を読むことで、ベンチャー企業を辞めるべきかどうかの決断ができるようになり、キャリアを前向きに再始動できるはずである。

 

【理由】新卒でベンチャーに入ったのに辞めたくなる理由は大きくこの4つ

新卒でベンチャーに入った人が、「辞めたい」と思う可能性は非常に高い。

理由はこの4つである。

  1. 学生の時に考えていた「ベンチャーに入るメリット」の多くが条件付きだから
  2. 普通の会社員より過酷な状況で社会人生活をスタートしているから
  3. 人手不足のため、ベンチャーは自社に向いた人以外も採用するから
  4. 労働時間と給料だけを考えると、合理的な若者の多くが持つ「コスパ」の概念に合わないから

 

【1】学生の時に考えていた「ベンチャーに入るメリット」の多くが条件付きだから

一般的に、入社前に考える「ベンチャーに入社するメリット」は、以下のようなものだろう。

 

  • 出世が早い
  • ストックオプションがもらえる
  • 優秀な仲間がいる
  • やりがいがある
  • オシャレなオフィスや珍しい福利厚生がある
  • 裁量が大きい
  • 若い人が多く活気がある

 

しかしながら、「ベンチャー企業への転職の教科書」に記載した通り、これらのメリットの多くは以下のように「条件付き」である。

  1. 出世が早い →本当でも嘘でもある。タイトル(職位)で言えば本当だが、年収で言えばウソ
  2. ストックオプションがもらえる →人や、加入時期による
  3. 優秀な仲間がいる →優秀なのは経営陣だけのことが多い
  4. やりがいがある →大きく人による。忙しくて薄給、つまりブラック企業ともいえる環境を覆すやりがいが見つけられるかどうか
  5. オシャレなオフィスや珍しい福利厚生がある →本当。だけどすぐ飽きる
  6. 裁量が大きい →本当
  7. 若い人が多く活気がある →本当

 

上記のように、入社時に想定していた「メリット」を感じられなくなるのが第一の理由である。

 

【2】普通の会社員より過酷な状況で社会人生活をスタートしているから

新卒でベンチャーに入った社員が辞めたくなるのは自然なことである。

その理由は、普通の会社員より過酷な状況で社会人生活をスタートしているからである。

 

齋藤
ゲームで例えます。「イージー」「ノーマル」「ハード」等、難易度があるゲームは多いと思います。ベンチャー企業で社会人生活を始めることが辛いのは、やったことがないゲームなのに初回のプレイで「ハードモード」を選択しているからです。

 

それでは具体的に、ベンチャー企業は普通の企業よりどう過酷なのか。

「ベンチャー企業≒中小企業」とも言えるため、「大企業から中小企業・ベンチャー企業への転職で戸惑いがちなことと成功のポイント」での記述から少し改変してお伝えする。

 

  1. 体育会系・長時間労働・公私が曖昧など、「人がどんどん辞めていく会社にありがちな7つの社風」を多数満たすことが多い
  2. 倒産する可能性が一定程度ある
  3. 大企業が民主主義の大都市だとしたら、ベンチャー企業は独裁体制の村社会になりがち
  4. 村社会なので、固定カースト制が敷かれがち(スクールカーストに近い)
  5. 「イマイチな古株」と「優秀な転職者・新卒」の間にストックオプション格差があることがある
  6. 大手企業では見られないヤバい社員がいることがある
  7. 育成やローテーションの概念がなく、キャリア構築が難しい(専門性のない「根性により、何でもある程度できる人」になりがち)
  8. 経営陣の意向により、部署や事業が消え去りがち
  9. キャパの限界まで何でもやらされがち
  10. 評価が本当に「人間的な好き嫌いの評価」になりがち
  11. 尖った人事制度や経営陣の意向により、年収が過度に上下しがち

 

齋藤
新卒でベンチャーに入ると、上記のような環境が当たり前だと思ってしまいがちです。
そういった会社しか経験していないのにもかかわらず上記の異常さに気づけたのであれば、洗脳されにくい、合理的な気質をお持ちかもしれません。

 

【3】人手不足のため、ベンチャーは自社に向いた人以外も採用するから

新卒でベンチャー企業に入社した人に生じやすい不幸なギャップがある。

 

そもそも、ベンチャーは字義からして「危険」である。

まだマーケットの大きさもよく分からない市場に、自分の意志で飛び込み開拓していく、いわゆるベンチャーマインドが必要となる。

 

齋藤
報われるかどうかもよく分かりません。

 

その事業、もしくは働くこと自体が熱狂的に好きな人か、ベンチャーで学んで起業したいという明確な意思を持つ人以外はあまり向かない。

そして、人事としての経験上、上記に当てはまるのは本来(多く見積もっても)日本の新卒の5%以下だと思う。

 

ベンチャーに向いた人、というのはそもそも非常に少ないのに、ベンチャーは人手不足である。

よって、本来は安定的な環境に向いた人もどんどん採用する。ここに大きなギャップが生まれてしまうのである。

 

齋藤
怒る人もいるかもしれませんが、多くのベンチャーが「大企業には入れなかった」社員で構成されているという現実もあります。

 

こうして、ベンチャーでは大量の「辞めたい人」が発生する。

 

【4】労働時間と給料だけを考えると、合理的な若者の多くが持つ「コスパ」の概念に合わないから

若い人間ほどコスパをよく考える、と言われている。

その真偽には触れないが、コスパを考える合理的な人間からすると、ベンチャー企業とブラック企業はかなり近いものになる。

 

齋藤
「コスト=労働時間」「パフォーマンス=給料」と考えると割に合わないベンチャーが多いです。心の底から「パフォーマンス=良質な経験も含めた報酬」と考えており、なおかつそのベンチャーにいることは良質な経験である、と信じられなければ、コスパは悪く感じられるはずです。

 

ベンチャーの理念や経営陣に強く共感していたり、成長することが目的化していたりしないと、だいぶ辛いものがあるはずである。

 

【対策】向いていなければ脱出。起業よりまずは転職を。元ベンチャー社員の転職先の幅は広い

筆者は通常、「転職したい」という人に対し、「いきなり転職はしない方が良い。改善や我慢、異動等で対応できないか?」というアドバイスをしている。以下のような記事も書き、安易な転職には警鐘を鳴らしているつもりである。

>>【転職はハイリスク】人事プロが教える、転職より前に検討すべき3つの選択肢

 

ただし、ベンチャー企業の場合には別である。すぐに脱出するのが正解だと考える。

ここまで述べた通り、ベンチャーは合わない人は全く合わない。さらに、トップの人格と強く結びついた「変えがたい社風」になっており、少ない部署数や人員数から「異動」等の選択肢も少ない。

 

さらに、ベンチャーを辞めたい方に転職を勧めるのには、もう一つ理由がある。

それは、ベンチャーには(日系の大企業が足切りに使いがちな)社格の考え方が適用しにくいため、日系大企業を含めて若いうちは転職先の選択肢が幅広いことである。

 

齋藤
ベンチャーから唯一転職しにくいのは、専門性を軸に判断する「外資系(特に大手)」です。転職出来ないわけではもちろんないのですが、ベンチャーだと専門性を磨くというより何でも屋になりがちなので、選考で評価されない場合があります。

 

まとめ

ベンチャー企業に新卒で入ることは大きなリスクである。

そのリスクに見合ったリターンが手に入りそうであれば居続けても良いが、向いていなさそうであればすぐに辞めるのが良いと思う。

 

ベンチャーがあまり合わなかったのであれば、同じベンチャーに転職するよりも、大手企業に一度入ってみるのが良い選択肢だろう。

 

転職サイトや転職エージェントは無数にあるが、それらを紹介するランキングやおすすめサイトの信憑性は低く、どのサイトに登録すべきか悩む方は多い。

迷ったら、年代でも性別でもなく、シンプルに年収で決めるのがおすすめである。

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